Proxyパターンとは|GoFデザインパターンの解説

デザインパターンとは IT技術
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この記事では、GoF(Gang of Four)の23のデザインパターンの一つであるProxyパターンについて解説します。

Proxyパターンとは、あるオブジェクトへのアクセスを制御し、クライアントとそのオブジェクトの間に「代理」を設けるパターンです。

主にリモートアクセスやリソースの節約、セキュリティの向上を目的として使われます。この記事では、Proxyパターンの基本的な概念、使い方、Javaでの実装サンプルを含めて詳しく説明します。

Proxyとは

Proxyパターンは、対象となるオブジェクト(実際のサービスやリソース)へのアクセスを代理オブジェクトを通じて行う構造です。

この代理オブジェクトは、アクセス制御やメモリの節約、ネットワークの最適化など、様々な役割を担うことができます。

Proxyパターンの目的

Proxyパターンの主な目的は、直接アクセスすると高コストな操作を低減することです。

具体的には、リモートサーバーへのアクセス、リソースが大量に消費される操作、アクセス制限が必要なケースなどで利用されます。

Proxyパターンの構造

Proxyパターンの基本構造は以下の3つの要素で成り立ちます。

基本構造
Proxyパターンの基本構造
  • Subject:本来のオブジェクトのインターフェースを定義します。
  • RealSubjectSubjectの実装クラスで、実際の処理を行います。
  • ProxyRealSubjectへのアクセスを制御する代理クラスです。

Proxyの使い方

Proxyパターンは様々な場面で利用されます。以下にその代表的な使い方を説明します。

リモートプロキシ

リモートプロキシは、ネットワークを介して遠隔地にあるオブジェクトにアクセスする場合に使用されます。

リモートサーバー上のオブジェクトへのアクセスを代理オブジェクトを通じて行い、通信の詳細を隠蔽します。

仮想プロキシ

仮想プロキシは、リソース消費が大きいオブジェクトの生成を遅延させるために使用されます。

オブジェクトが必要になるまで実際のインスタンスを作成せず、メモリの無駄を省きます。

保護プロキシ

保護プロキシは、オブジェクトへのアクセスを制御し、セキュリティや権限管理を行うために使用されます。

特定のユーザーに対してアクセスを制限したり、ロールベースの制御を提供することが可能です。

Proxy実装サンプル

以下に、JavaでのProxyパターンの簡単な実装サンプルを示します。このサンプルでは、実際のオブジェクトにアクセスする前に処理を追加する典型的な例を紹介します。

サンプルコード

以下は、簡単な仮想プロキシの例です。

// Subjectインターフェース
public interface Image {
    void display();
}

// RealSubjectクラス
public class RealImage implements Image {
    private String fileName;

    public RealImage(String fileName) {
        this.fileName = fileName;
        loadFromDisk(fileName);
    }

    private void loadFromDisk(String fileName) {
        System.out.println("Loading " + fileName);
    }

    @Override
    public void display() {
        System.out.println("Displaying " + fileName);
    }
}

// Proxyクラス
public class ProxyImage implements Image {
    private RealImage realImage;
    private String fileName;

    public ProxyImage(String fileName) {
        this.fileName = fileName;
    }

    @Override
    public void display() {
        if (realImage == null) {
            realImage = new RealImage(fileName);
        }
        realImage.display();
    }
}

// クライアントコード
public class ProxyPatternDemo {
    public static void main(String[] args) {
        Image image = new ProxyImage("test_image.jpg");

        // 画像のロードは最初の表示時にのみ行われる
        image.display(); 
        System.out.println("");

        // 2回目の表示時は既にロード済みなのでロード処理が省略される
        image.display();  
    }
}

この例では、ProxyImageクラスが代理として機能し、RealImageのインスタンスを遅延して生成します。

初回の表示時にのみ画像がロードされ、2回目以降の表示ではロード処理を省略することで、効率的に動作します。

まとめ

この記事では、GoFデザインパターンの一つであるProxyパターンについて解説しました。

Proxyパターンは、オブジェクトへのアクセスを制御し、パフォーマンス向上やセキュリティ強化、リソースの効率的な管理に貢献します。

特に、リモートアクセスやリソースの高負荷な操作を行う際に役立ちます。

Javaの実装サンプルを参考に、適切な場面でProxyパターンを活用しましょう。

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