MongoDBのレプリケーションは、データの冗長性と高可用性を確保するための重要な機能です。本記事では、MongoDBのレプリケーションを実装する具体的な手順を、初心者にも分かりやすく解説します。データベースの信頼性向上に興味のあるエンジニアの方々、ぜひご一読ください。
前提条件
本ガイドは、MongoDB バージョン 4.4 以降を対象としています。特に、以下のバージョンで動作確認を行っています:
- MongoDB 4.4.x
- MongoDB 5.0.x
- MongoDB 6.0.x
異なるバージョンを使用する場合、一部のコマンドや設定が異なる可能性があります。使用するバージョンのMongoDB公式ドキュメントも併せて確認することをお勧めします。
MongoDBレプリケーションの基本
MongoDBのレプリケーションは、複数のノードでデータのコピーを保持することで実現します。典型的なレプリカセットは以下の構成要素から成ります:
- プライマリノード:読み書きの両方を処理する主要なノード
- セカンダリノード:プライマリのデータを複製し、読み取り操作を処理できるノード
- アービターノード(オプション):データを持たず、選挙プロセスにのみ参加するノード
レプリケーションの実装手順
MongoDBのインストール
まず、レプリカセットの各ノードとなるサーバーにMongoDBをインストールします。以下は Ubuntu での例です(バージョン6.0の場合):
sudo apt-get update
sudo apt-get install -y gnupg
wget -qO - https://www.mongodb.org/static/pgp/server-6.0.asc | sudo apt-key add -
echo "deb [ arch=amd64,arm64 ] https://repo.mongodb.org/apt/ubuntu focal/mongodb-org/6.0 multiverse" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/mongodb-org-6.0.list
sudo apt-get update
sudo apt-get install -y mongodb-org
注意:インストール手順は使用するOSとMongoDBのバージョンによって異なる場合があります。
設定ファイルの作成
各ノードで、以下のような設定ファイル(例:/etc/mongod.conf)を作成します:
systemLog:
destination: file
path: "/var/log/mongodb/mongod.log"
logAppend: true
storage:
dbPath: "/var/lib/mongodb"
net:
bindIp: 0.0.0.0
port: 27017
replication:
replSetName: "myReplicaSet"
注意:bindIpを0.0.0.0に設定することで、外部からのアクセスを許可します。本番環境では適切なセキュリティ設定が必要です。
MongoDBサービスの起動
各ノードでMongoDBサービスを起動します:
sudo systemctl start mongod
レプリカセットの初期化
プライマリとなるノードでmongoシェルを起動し、レプリカセットを初期化します:
mongosh
> rs.initiate({
_id: "myReplicaSet",
members: [
{_id: 0, host: "server1:27017"},
{_id: 1, host: "server2:27017"},
{_id: 2, host: "server3:27017"}
]
})
注意:MongoDB 5.0以降では、従来のmongo
シェルの代わりにmongosh
を使用します。
レプリカセットのステータス確認
レプリカセットの状態を確認します:
rs.status()
この出力で、各メンバーの状態やプライマリノードを確認できます。
セカンダリノードの追加(必要に応じて)
後からセカンダリノードを追加する場合は、以下のコマンドを使用します:
rs.add("新しいサーバー:27017")
アプリケーションの接続文字列の更新
アプリケーションからレプリカセットに接続する際は、以下のような接続文字列を使用します:
mongodb://server1:27017,server2:27017,server3:27017/?replicaSet=myReplicaSet
注意点とベストプラクティス
- ノード数:奇数のノード数(通常3または5)を使用し、スプリットブレインシナリオを避けます。
- ネットワーク:ノード間の通信遅延を最小限に抑えるため、同じデータセンターまたは近接したデータセンターにノードを配置します。
- モニタリング:replication lagやノードの健全性を定期的に監視します。
- セキュリティ:レプリカセット内の通信を暗号化し、適切な認証メカニズムを使用します。
- バックアップ:レプリケーションはバックアップの代替にはならないため、定期的なバックアップも必要です。
まとめ
MongoDBのレプリケーションを実装することで、データの冗長性と高可用性を確保できます。適切に設定・管理することで、システムの信頼性と性能を大幅に向上させることが可能です。
レプリケーションの実装には慎重な計画と設定が必要ですが、本記事で紹介した手順を参考に、皆さんのMongoDBデータベースの信頼性向上に取り組んでみてください。また、使用するMongoDBのバージョンに応じて、公式ドキュメントも併せて確認することをお勧めします。